三菱 アウトランダーPHEV 「あらゆるフィールドで三菱が培ってきた技術を感じることができる1台」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
5
走行性能
5
乗り心地
4
積載性
4
燃費
3
価格
4

あらゆるフィールドで三菱が培ってきた技術を感じることができる1台

2022.12.21

年式
2021年12月〜モデル
総評
先進的なメカニズムを搭載しながらも、熟成されているような完成度の高さを実感することが出来るのが素晴らしい。三菱がこれまで、あらゆるフィールドで培ってきた技術を全面に生かしているモデルだ。また、プラグインハイブリッドと聞くとやや環境性能重視な印象を受けてしまうが、走りも楽しいというのがこのクルマの売りだろう。走り好きならばターマックモードを体感してほしいし、パドルシフト風の回生ブレーキの強弱も好印象。
満足している点
国産メーカーではプラグインハイブリッドの先駆者的存在とも言える三菱。その三菱が持てる技術を導入して作ったフラッグシップに搭載されたプラグインハイブリッドで出来栄えは素晴らしいと感じる。また、内装の質感が高いことと優れたAWDシステムも魅力的なポイントだ。特にAWDシステムはあらゆる場面で安定した走行を実現するだけでなく、オンロードでの楽しい操作性にも寄与することが出来るのは、嬉しい人もいるはずだ。
不満な点
やはり3列目シートの折り畳みと展開がしづらいところが欠点と言える。特に折り畳みは力もいるし、動き方も他メーカーの3列シートのクルマに比べれば複雑だ。また、上級グレードを選ぶとなると3列シート車しかないのも欠点と個人的には思う。クルマのキャラクターを考えてみても、2列シートで足元空間を広くして快適に移動できるようにしたいと思う声は少なくないはずだ。
デザイン

5

現代の三菱のデザインコンセプトであるダイナミックシールドを取り入れたフロントマスクは、押し出し感がありインパクトが大きいながらも先進的なイメージを上手く取り入れている。サイドに入ったプレスラインもエッジが効いていてフロントマスクとの調和を上手く取っている。また、デザインという面で言えば内装デザインが優れていると感じる。機能性と高級感を上手くバランスしており、上質なクルマに乗っていると感じさせる景色を作り出している。
走行性能

5

AWDシステムの恩恵もあってか運転フィーリングはかなり楽しくて面白い。特にオンロードで面白いと感じるのがターマックモードだ。実際に運転して見ると曲がる四駆を体感できる仕上がりになっている。重量が重たいSUVとしてはビックリするほどロール感も少なく、想像以上にワインディングが楽しい仕上がりだ。また、回生ブレーキがありながらもブレーキフィーリングが自然な仕上がりになっているのも嬉しい。
乗り心地

4

バッテリーが重たいのと、軽快なハンドリングを実現するためか若干ハードに仕上がっていると感じる。ただ、許容範囲だと個人的には感じる。突き上げ感は少し強めだが振動の収束も早いし、不快な振動は少ない。2トンに迫ろうかという車重で比較的低扁平なタイヤを履いていることを考えると、乗り心地は良好と言えるだろう。
積載性

4

ボディサイズを考えるとラゲッジスペースの広さは普通と感じる。特出した機能性などもないが、バッテリーを有するプラグインハイブリッド車であることを考えれば、日常性は十二分に確保できるラゲッジスペースだと思う。しかしラゲッジスペースでネックなのが、3列目シートの折り畳みや展開が難しいというポイントだ。3列目シートは折り畳みの操作が複雑で力も必要とされる印象。この点は他のメーカーの3列シート車を見習ってほしいと感じる。
燃費

3

プラグインハイブリッドだからと言ってスペシャルな燃費性能を実現している訳ではない。WLTCモードで16.2km/Lという燃費性能は、正直ハイブリットで更に優れた燃費性能のSUVが多く存在するスペックだ。それでは、プラグインハイブリッドの利点が分からないという声が聞こえるかもしれないが、電気自動車の状態で83km(WLTCモード)走行可能となっているのが、大きなポイントと言える。プラグインハイブリッドの価値をどう捉えるかでこの点の評価は人によって異なってくると言えるだろう。
価格

4

最新技術てんこ盛りになっていて、三菱の持っている技術力を総動員したとも言える現行アウトランダーはフラッグシップモデルと言える。採用された技術や搭載されている各種メカニズムを考えると、上級グレードでも600万円を優に切る価格設定はお買い得感があると思う。価格に見合った質感も持っているし、実車を見るとその良さが分かるはずだ。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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